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桜フォトコンテスト2008 総合グランプリ

桜フォトコンテスト2008 総合グランプリ 結果発表

■講評
○全体の講評:小林義明 (風景写真家)
小林「日本の桜で自生しているものは数少なく、そのほとんどが植えられたものです。田植えの時期を計ったり、人の目を楽しませるためだったり、人の生活に密接な関係を持ちながらたくさんの桜が毎年花を咲かせてきました。それらの桜にはさまざまな人の思いが込められ宿っていると思います。そんな気持ちを受け継ぎながら桜の美しさも表現できた作品が、グランプリとなっているのではないでしょうか。オーソドックスであっても心動かされる作品がたくさん集まったことをうれしく思います」

○全体の講評:石川 薫 (『風景写真』編集長)
石川「ネット上の募集ということもあって、特別賞にはユニークな作品が多く残りましたが、グランプリに選ばれた作品の傾向がオーソドックスなので、意外に思われた人もいたかもしれませんね。しかし、逆に言えばそれだけ力のある作品が多かったということで、今回は、“良い場面を、良い光で、良い構図で捉えた作品”が選ばれたということでしょうか。また、皆さんの作品を拝見するのを楽しみにしています」

総合グランプリ

浮見堂の桜!

浮見堂の桜!

総合GP

hachimanさん

小林「たくさんの写真が寄せられたなかでグランプリとして選んだのは、「浮見堂の桜!」です。じつにオーソドックスではありますが、この定番中の定番が撮ろうと思ってもなかなか撮れないのです。天候や光線状態、桜の開花タイミングなど、すべてが揃ってこそ撮影できるものです。運ともいえますが、日頃から桜のことを大切に思っていたからこそ恵まれたチャンスでもあるでしょう。個性ある作品もたくさんありましたが、誰もが見てみたいと思うであろう美しい桜、日本人の伝統と心を表している桜ということで、この定番の写真を選びました」
石川「今回はライトアップされた夜桜を写した作品が目立ちました。その中にも魅力的な作品があったのですが、桜という自然の対象を写した作品ということで比較すると、やはり自然光で美しく捉えた作品にひかれてしまいます。何でもないような光に見えて、満開の状況をくっきりと、それでいて落ち着きのあるトーンに描いてくれる光にはなかなか出合えないと思います。まさに一期一会の風景です」
【桜フォトコンテスト・前期 特別賞受賞作】

総合準グランプリ

幽玄

幽玄

準GP

yochanさん

小林「ライトアップされた桜の姿はよくありますが、時代劇かかった史跡の門や月、スローシャッターで流れた雲など映画のセットのような組み合わせで、タイトル通り『幽玄』な桜の姿が浮かび上がりました。なかなか撮影条件としては難しいのですが、月明かりとライトアップされた桜などの露出もバランスよくまとまりましたね」
石川「前景の灯籠が効果的に門や桜に視線を運ぶ役割を担っていて効果的です。妖しくも神聖な雰囲気のある写真なのですが、タイトルに一工夫があれば、もう少しストーリー性が加わったのではないでしょうか」
【桜フォトコンテスト・後期 特別賞受賞作】

みちのくの春

みちのくの春

準GP

kannabiさん

小林「宮城県大河原町一目千本桜は、蔵王連邦をバックにとても美しい景色を撮影できる名所ですね。定番の場所ということですが、これだけ川面が凪いできれいに景色が写り込むとなると、いつでも撮影できるものではありません。蔵王連邦がスカッと見えている快晴ということも合わせてよいタイミングに撮影できたものです。桜の名所だからこそ、構図が同じであればいいわけではなく、最高の条件を選んで撮影することが大切なのです」
石川「前景にあえて水が流れおちるところを入れたことで、清らかな雪解け水を連想させます。それによって背景の山と川に関連性が生まれ、定番的なシーンに独自性が加わりました。中央に浮かんでいる赤い浮きのようなものが目を引くのが残念ですが、作品全体の仕上がりから考えれば、まったく問題ありませんね」
【桜の名所100選フォトコンテスト 特別賞受賞作】

畏敬

畏敬

準GP

たくみさん

石川「樹齢2000年とも言われている山梨県北杜市実相寺の山高神代桜ですね。桜の花ではなく、あえて幹を主役としたことで、老木の風格とともに、霊的な生命感を感じるような作品になっていますね」
小林「この写真をじっと見ていると、幹が竜の顔のように見えてきませんか。もしかしたら、ほんとうに竜が宿っているかもしれませんね。撮り方はほぼこれでいいですが、より幹を強く見せるためにはアングルを下げて後に見えている人を隠すことと、少し右側から撮影することで幹の左側にある白い空間を減らすことができればよかったですね」
【桜の名所100選フォトコンテスト 特別賞受賞作】

桜陰の刻

桜陰の刻

準GP

asuradoさん

石川「手前から伸びる影が前景として効いていますね。影と桜でお堂を包み込むような構図になっていて、奥行きを感じます。」
小林「この陰を活かすために魚眼レンズを選んだことも成功に繋がっていますね。魚眼レンズらしい歪みはおさえながら広い画角を利用していて、お寺までの遠近感も適度に表現しています。枝の流れや陰の方向が、お寺に視線をむかわせるのですね。桜がこのお寺を見守っている反面、密かに伸びる枝の陰がお寺を支配しようとしているような二面性を感じさせるところもありますね。人物は写っていませんが、ストーリーを感じさせる写真に仕上がってると思います。」
【桜フォトコンテスト 後期 特別賞受賞作】

京都 東山 高台寺

京都 東山 高台寺

準GP

ならんとさん

小林「ねねの寺で知られる京都高台寺の方丈前庭ですね。効果的なライトアップで庭の造形がいっそう強調されている中で、桜がひときわ美しく輝いています。歴史ある日本庭園と現代的なライトアップの組み合わせで、新しい景色が産まれましたね。その景色をうまく撮影して魅力的に見せることができています」
石川「古いお寺なのですが、現代的と言うか、SFチックというか……。映像的には美しくまとめられていると思いますが、桜の右側と手前の白砂が白飛びしています。特に桜にはかなり強い光が当たっているようで、白飛びを抑えるのは難しいと思いますが、残念なポイントです」
【桜フォトコンテスト 後期 特別賞受賞作】

ようこそ

ようこそ

準GP

すずろさん

石川「小林さんの世界という感じがしますが、なかなか撮るのが難しそうですね」
小林「桜の蜜を吸っているアゲハチョウですが、よく撮影できましたね。桜の花にもいろいろな虫達がやってきていますが、気がつく人も少なくうまく写真にすることも難しいです」
石川「青空がきれいで、左隅に入れたボケも小さな場面に空間の広がりを感じさせてくれますね」
小林「全体的な構図や光の選び方なども無駄なく、すばらしいと思います
【桜フォトコンテスト 前期 特別賞受賞作】

桜の残り香

桜の残り香

準GP

のりたろうさん

石川「演出された場面だと思いますが、邪な私は、桜、落花、そしてタイトルの残り香から、和の色っぽさを想像してしまうのですが……。いずれにしても、いろいろなストーリーを連想させる作品で、面白いと思いました」
小林「畳の上に落ちた桜の花。散った花びらも一緒にあって、わびさびともいえる和の雰囲気が強い写真です。シベの先端に光が当たっているのは、色を鮮やかに感じさせるのにとても効果的です。また、桜のシベや花びら、畳の一部など見せたい必要最低限の部分にしっかりピントが合っています。この写真で、風などすこしでも動きを感じることができれば、いっそう残り香の印象を強く見せることができたと思います」
【桜フォトコンテスト・後期 特別賞受賞作】

花舞い降りる森

花舞い降りる森

準GP

jem_7vさん

[石川]深海に降り注ぐマリンスノーのような不思議な光景ですね。一見しただけで、桜の花が散っているとはわかりませんが、独特の映像世界に仕上がっていて、面白いと思います。
[小林]桜の花びらが散った瞬間をストロボで写し止めています。まるで雪が降っているように見えますね。ホワイトバランスもタングステンに設定して青みがかった発色を演出し、独特の世界を生み出しています。Exifを見ると昼頃の撮影となっていますが、ストロボを発光させての疑似夜景でしょうか。
【桜フォトコンテスト・後期 投票部門 第6位入選作】

桜の花火

桜の花火

準GP

KAZUさん

[小林]ライトアップされた桜を魅力あるものにうまく仕上げています。思い切り絞り込んで光芒を生み出していたり、20秒という長時間露光でもブレが起きないような無風の撮影条件を選ぶなど、とても撮り慣れているうえによく計算されていると思います。空を暗く落としているのも、この場合は効果的ですね。柵が水面の方が歪んでいるように見えるのも動きを感じさせて面白いと思います。
[石川]等間隔に配された照明が光芒を描き、鏡のような水面に映り込んだシャープな倒影像と相まって、鮮烈な印象の画面を作り上げていますね。奥にわずかに建物を入れたのは、奥行きを出すのと、画面に変化を与える意味で正解だと思います。左の黄色い花は目を引くので、可能ならもう少し右に寄せてアクセントとして活かしたすと、画面が安定します。中央やや左に見える明かりは月でしょうか。だとしたら、月を入れたバージョンも狙いたかったところです。
【桜フォトコンテスト・後期 佳作入選作】

桜踊る宵の三渓園

桜踊る宵の三渓園

準GP

Balladsさん

[小林]三溪園の夜桜をバランスよい構図で撮影できました。桜の色や建物の輝き、薄暮の空の色など、それぞれの明るさもちょうどよくなり、撮影する時間の選択もピッタリです。夜景でありがならカラフルなので、桜がうまく引き立てられています。風が強かったために、桜がぶれてしまった面積が多いのが残念でした。画面の右半分を縦位置の構図でまとめると、桜もあまり動いていないようですし、明るい部分を大きく見せられるので、いっそう華やかに見せることができたと思います。
[石川]桜の配分、塔の位置、ボートの位置などがちゃんと考えられていて、構図的にはこれで正解といっていいでしょう。しかし、場面として考えると、桜が風でぶれていて、画面の雰囲気を少し乱しています。臨場感があって良いという見方もできますが、風が止むのを待つか、ブレた部分を避けてフレーミングすると、静謐な雰囲気が強調されたと思います。
【桜の名所100選フォトコンテスト・投票部門 第1位入選作】

桜100選フォトコンテスト −作品部門・前期−
桜100選フォトコンテスト −100選部門−
桜100選フォトコンテスト −作品部門・後期−