
風景写真 紅葉WEBフォトコンテスト 結果発表
- ■講評
- 隔月刊・風景写真は、1994年に創刊した風景写真の専門誌です。本誌上のコンテストには毎号数千に及ぶ風景写真作品が送られてきますが、今のところフィルムによる作品が多く、WEB上でモニターを見ながらの審査は新鮮な体験でした。また、投票結果によるランキングという形式も初めて。普段のコンテストで選ばれるのとは違う傾向の作品にコメントをつけることに戸惑いながらも、良い勉強をさせていただいたと思っています。作品の講評には、僭越ながら、私なりのアドバイスを入れさせていただきました。参考になれば幸いです。(佳作への講評は別ページに掲載しました)
また、投票結果とは別に、特別賞として3作品を選びました。
(『風景写真』編集長・石川 薫)
最優秀作品

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秋雨に踊る紅の舞
第1位salarymanさん
中心に据えた鐘楼に向かって紅葉が集まっていくような不思議な効果が画面に表れていて印象的な作品に仕上がっていますね。通常、白飛びは主題の印象を損なうことが多いのですが、この作品場合は“紅の舞”を引き立たせる光の演出となっています。画面の中央から右にかけてのスピード感、鮮やかさに比べて左サイドの静止した空間がかえって目を引き、主題の印象をスポイルしています。もう少しフレーミングを切り詰めると、結果的に左サイドも省略され、“紅の舞”の印象が際だったと思います。
蛇足ですが、良い作品なのにタイトルが説明的なのが気になります。「秋雨」の秋は画面を見ればわかりますし、「踊る」と「舞」は同義です。ここはシンプルに「驟雨に踊る」くらいにした方が、かえって作品のイメージを引き立てると思います。
(※驟雨=しゅうう:急に降り出し、強弱の激しい変化を繰り返しながら、急に降り止む雨)

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主役交代?
第2位ホセさん
作者のコメントから推察するに、背景の遠景ボケは街のイルミネーションなのでしょうか。暖色系の色彩が秋色のイメージにつながり、モミジのシルエットとともに季節感を感じさせる画面に仕上げていますね。画面左の暗い部分が少し重く感じられるので、シルエットの形と、光の印象でシンプルに見せられる、ポジション、フレーミングを工夫すると、主題がさらに引き立ちます。「主役交代?」という着眼点は良いのですが、はたして画面とタイトルからどれだけの人が意味をくみ取れるか? 例えば「近づく聖夜」などというのはいかがでしょう?

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Real World
第3位パパールさん
この作品は、6位の「Another World」の説明として撮られたものなのでしょうか? 水路の曲線をポイントに、直線的な並木の配列をバランスよく構成していて、ご本人が言うほど野暮とは思いませんが……。順位が示すように、この例が示すように、一般的には虚像よりも実像の安定感が好まれる傾向があるようです。こうした落ち着きのある画面を構成できることも実力のうちだと思います。
入選

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赤の中
第4位磯崎輝彦さん
情熱的な赤い色彩の中に、逆光に透ける黄色いモミジを配した鮮烈な画面です。全体に少し画面を絞り、右の幹はやや重いのでカット。もうすこし右にポジションを取り、背後にぼけた枝に囲まれた紅葉の空間に黄色のモミジを配すると、より「赤の中」の印象が強まったと思います。

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Another World
第5位パパールさん
「Real World」に比べると、着眼点が個性的で、写真的な表現の魅力を活かした作品と言えます。どちらが好きかと言われれば、私もこちらの方が好きかな。画面右の幹の虚像は入っていた方が良いと思うのですが、グリーンのフェンスは興ざめな感じがするので、私の好みとしては幹が切れてもフレームから出したいところ。右上の地面の反射がきついので、できればここがとびすぎないライティングを選べればベストでした。もちろん、状況に恵まれれば、という話で、このままでも作品として十分成立しています。

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紅一葉
第5位donkey-og3さん
心を惹かれた場面に素直にレンズを向けた感じが伝わってきて、好ましい作品です。このような気持ちを大事にして撮っていくと、きっと素敵な作品が集まっていくと思いますよ。少しアドバイスを送るなら、右の明るい空間に対して、左の暗い空間が多く、少々アンバランスに感じます。かと言って暗い背景に逆光の桜紅葉が浮かぶ感じは大事にしたい。ここは縦位置ににして、画面のバランスを考えてみるというのはいかがでしょう。

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水面も燃ゆる
第7位ホセさん
まさに燃えるような紅葉を写し込んだ水面ですね。庭園の苔むした岩を軸に構成したフレーミングも正解です。ただ、燃ゆる水面が主題なのですから、上部のほとんど何もない黒い空間は多すぎると感じます。ここを整理して構成すると、さらに“燃える”印象が強まったと思います。

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浄土を彩る
第8位パパールさん
こういうモチーフを画面の中でセンスよく配置するのは、思いのほか難しいものです。パパールさんは、他の作品を拝見していても、とてもいいバランス感覚を持っているようですね。これはこれとしてまとまっていますが、可能であれば、左の丸窓を中心に縦位置で切り取ると、窓の向こうにある紅葉の存在が強まるフレーミングもできると思います。

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水面燃ゆ。
第8位G2さん
とても美しい映り込みを発見しましたね。緑、黄、赤の色彩が油絵の具のように溶け合って、抽象画のような画面です。このようなモチーフをまとめる場合、抽象的な水面に対して、具象的な存在である石や木を骨格にして画面をまとめるのがセオリーです。その意味で、この作品は石や木の配置が少し散漫です。思い切って上部の流木はカットして、石と水面だけ、あるいは流木とそれに絡む落葉を軸にするなど、シンプルな構成を考えてみるのも一つの方法です。

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小さな紅葉
第8位磯崎輝彦さん
とてもきれいで形のよい紅葉に光があたり美しく輝いています。その輝きが幹のシルエットと対比され、より印象的に感じられます。この作品のポイントは背景の幹の扱いです。紅葉との重なり具合が少し中途半端に感じられますので、可能であれば幹の間隔を開いて緑の中に紅葉を置くか、逆に接近させて幹に重ねるポジションを探してみましょう。縦位置のフレーミングもこの場合有効だと思います。

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秋の夜の夢
第8位heikayuujiさん
ライトアップされた紅葉を幻想的に捉えていますね。中央の幹を軸に縦位置で捉えたことで個性的なフレーミングになっています。ただ、幹にピントが合っていますが、紅葉はボケています。下部と左サイドを少しカットして紅葉の配分を増やし、ピントを合わせると、より「秋の夜の夢」のイメージが強調されると思います。












